『自己破産をすると、今の仕事はできなくなるのか。』

『自己破産をすると、周りの人に知られてしまうのか。』

など、「自己破産」という言葉を聞いて、とにかくマイナスのイメージをもってしまい、今まで通りの生活ができなくなると思って不安な方は多いのではないでしょうか。自己破産において、イメージだけではなく、正しい理解することが重要です。ここでは、自己破産のデメリットについて解説します。

自己破産とは

自己破産とは、裁判所を通して借金の返済義務を免除しもらう手続のこと。

破産を申し立て、免責(借金を帳消しにするための手続き)の許可の申し立てを行い、免責の許可が下りるとはじめて借金が免除になります。借金の返済義務から逃れられるという大きな救済措置である分大きなデメリットもあり、これを認識した上で自己破産を行う必要があるでしょう。

そして、破産手続が開始すると、「管財事件」と「同時廃止事件」のどちらかの手続きに進むことになります。「管財事件」とは、破産手続きの処理に「破産管財人」の選任が必要な手続きです。

さらに、裁判所にはらう予納金を少額に抑えた少額管財という制度もあります。

これに対して、破産手続き開始の時点で、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足と認めるとき」(破産法216条1項)に「同時廃止事件」になります。すなわち予納金をふくめ破産手続費用を支払うだけの財産がない場合です。「破産管財人」の選任の必要もなく破産手続開始決定と同時に破産手続が終了します。

ブラックリストについて

自己破産をすると、信用情報機関が保管している個人信用情報に事故情報(異動情報、ネガティブ情報)が記録され、ローンやクレジットカードなどの利用ができなくなります。
信用情報機関には、「CIC」(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)、「JICC」(日本信用情報機構)、「全国銀行協会」の3つがあり、個人の借り入れについての信用情報を管理しています。

銀行などの金融機関や信販会社などの貸金業者は、ローン審査の際に信用情報を参照します。このときに事故情報が記録されていると、自己破産したことが判明してローン審査に落ちてしまいます。

俗にいう「ブラックリスト」の状態になります。これによって住宅ローン、車のローン、教育ローンなど各種ローンが利用できなくなります。

自己破産によるブラックリストの期間は、「CIC」と「JICC」の場合は自己破産手続き後5年間ですが、「全国銀行協会」の場合10年になります。

ただし、即時決済するデビットカードや前払い式のプリペイドカードなどで代用は可能です。また、5年~10年はクレジットカードが作れなくなりますが、その後なら新たに作ることはできます。

職業制限について

自己破産手続きを利用すると、手続き期間中は一定の職業に就けなくなります。

おもに成年後見人、遺言執行者、各種の委員会の委員など社会的責任が高い職業や士業(弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、公認会計士)など社会的信用も比較的高くお金を取り扱うことも多い職業、さらにお金を取り扱うことが多い公庫の役員や銀行の役員、貸金業、証券業、保険会社、宅地建物取引主任者、不動産鑑定業者、土地家屋調査士なども資格の制限を受けます。

また、警備関係、旅行業者、産業廃棄物業者など一見自己破産や信用と関係のなさそうな業種でも制限を受けます。

ただし、その制限は一生続くわけではありません。自己破産の資格制限が開始するのは、「破産手続き開始決定後」であり、また自己破産手続きが終結した場合には、資格制限は解除されます。無事に免責がおりて借金がなくなったら、それまで受けていた資格制限も解除されます。(3か月~6か月程度)

財産の没収について

基本的に財産がなくなります。自己破産は、破産者の所有する財産は、原則破産管財人という職務の人がすべて現金に換価して、債権者に平等に配当されることから、破産者が所有している財産は基本的にすべて失うことになります。

預貯金、生命保険も解約されますし、不動産、車等も売却されてしまいます。

ただし、生活に最低限必要な財産は、手元に残すことは可能です。預貯金、生命保険、車などの評価が20万円までなら持ったまま破産できます。さらに現金で財産を所有している場合は、99万円まで持ったまま破産することができます。

官報に掲載されること

自己破産をすると、政府が発行している官報に記載されてしまいます。官報は、法律や条令、条約などの法令に関する情報や、破産者などの裁判所の情報が掲載される政府発行の
機関紙です。官報はインターネット上でも閲覧することができます。

自己破産手続を利用すると、官報に氏名、住所、裁判所での決定内容(手続き開始決定や免責決定など)が掲載されます。

ただし、一般の人で官報を読んでいる人はほとんどいません。官報に載ったからといって周囲に自己破産がばれるリスクはそれほど高くはないといえます。

保証人に迷惑をかける

借金に連帯保証人がついている場合、自己破産手続きをするとカード会社が連帯保証人に借金の支払い請求をすることになります。

こうしたケースでは、連帯保証人に対しては借金残額の一括払い請求がなされてしまうことが多く、さらに通常利息よりも高額な遅延損害金が加算されてしまうことが普通です。連帯保証人には多大な迷惑をかけることになります。

膨大な資料が必要となる。

自己破産は、裁判所に申立をして免責決定をもらう手続きであるため、必要書類がとても多くなります。

作成が必要な申立書、債権者一覧表、財産目録などに加え給与明細書、源泉徴収票、確定申告書、課税証明書、銀行預貯金通帳、取引履歴、保険証券、不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書、退職金の証明書、住民票など 財産や身分関係の書類が大量に必要になります。

さらに、個別のケースによって必要な書類が異なってきます。

そしてこれらの書類や資料に漏れがあると、裁判所は手続きを進めてくれないため、自己破産手続が進まなくなります。

これらの書類を適切に集めることには非常な困難が伴うことから 自己破産手続を利用する場合は、司法書士や弁護士に手続きを依頼することが必須になります。

手続き費用が高い

自己破産手続を利用する場合には、裁判所におさめる予納金・実費と司法書士・弁護士費用がかかります。

実費については、財産がない人のための簡易な手続である同時廃止事件の場合であれば、印紙代と郵便切手、官報公告費用の合計3万円程度ですが、財産がある人のための管財手続が最低限20万円予納金として必要になります。

また司法書士・弁護士にかかる費用も、他の任意整理や特定調停などの手続きと比べると費用が高く、総額の目安として、同時廃止事件で30万円、管財事件で、50万円~60万円程度になってきます。

破産手続き中の制限について

①自己破産手続中の旅行や引越しの制限がある

自己破産をすると、一定期間、引越などの居住場所の制限を受けることがあります。破産手続開始決定時の住所から自由に移動できなくなります。また長期旅行することなども制限が課されます。ただし、同時廃止事件では特に旅行の制限はありません。また管財事件でも、裁判所の許可を得れば旅行も引越しもできます。

②郵便物の受け取りに一部制限がある

管財手続になった場合は、破産者宛ての郵便物は、破産管財人に配送され、開封や内容確認も破産管財人ができます。ただし、同時廃止事件では制限はありません。

③資格・職業の制限がある

ただし、最終的に免責許可決定が確定すると、これらの制限は解除されます。(復権という)自己破産にかかる期間はだいたい3か月~半年なのでその間だけ我慢すればすむことになります。

デメリットと誤解されていること

自己破産をすると、その影響の大きさから、不利になると誤解されている点もあるかと思いますので、それについてもご説明します。

家族にも支払い義務があるのではないか

自己破産をしたからといって、家族が保証人になっていなければ、家族に支払い義務はありません。

自己破産すると戸籍謄本や住民票に記載されるのではないか

記載されることはありません。家族にさえも自己破産をしたことがわかることはほとんどありません。

勤務先に知られて解雇されるのではないか

自分で言わない限り、自己破産をしたことを知られることはありません。また勤務先が、従業員の自己破産を知ったとしても、破産を理由に解雇することは違法となります。

健康保険に入れなくなる

入れなくなることはありません。

選挙ができなくなるのではないか

選挙権など公民権が停止されることはありません。

パソコンやテレビ、衣服など生活に必要なものも失うことになるのではないか

最低限の生活家財道具は失うことはありません。

まとめ

自己破産には、借金が全額免除されるという大きなメリットがあるが、その分デメリットも大きいので認識しておく必要があります。

・ブラックリストに載って、ローンやクレジットカードの利用が5年~10年できなくなります。
・自己破産の手続き期間中、一定の職業に就けなくなります。
・財産が没収されますが、生活に必要な最低限の財産は残せます。
・官報に情報掲載されますが、一般の人は見ることはありません。
・連帯保証人に全額の請求がいくため、保証人に迷惑をかけることになります。
・膨大な資料の準備が必要で手続も複雑です。
・管財事件の場合は、手続中に旅行などの制限があります。

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