「清算価値って何?」

「清算価値の計算方法ってどうするの?」

個人再生を行うにあたり、必ず直面する清算価値保障の原則。これは、個人再生によって圧縮できる借金の額に大きく影響するのですが、ポイントは、所有している財産を換価処分(お金に換えること)した際の額よりも、借金を減額できないということです。それでは、詳しく見ていきましょう。

清算価値保障の原則の概要

「清算価値保証原則」とは、個人再生は、自己破産の場合よりも多い金額をカード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)に返済しなければならないというルールのことを言います。

すなわち、個人再生において、再生計画における支払う総額(計画弁済総額)は、破産における場合の支払い額以上でなければならないとする原則のことです。

自己破産した場合、破産者の有している財産は、金銭に換えるために売られ、カード会社に分配されることになります。つまり、自己破産では、最低でも所有している財産分は返済することになります。

しかし、個人再生には、財産の強制処分がありません。

個人再生によって借金が圧縮されると、カード会社は単純に損を被ることになりますので、もし仮に、あなたが借金を返せるだけの財産を持っているとなると、カード会社は「財産を売って返済に充てるべきでしょ」ということになるのです。

つまり、このような不満が出ないためにも、最低でも所有財産分は返済しましょう、ということです。

この清算価値保障の原則を満たさない再生計画は、仮に多数のカード会社の賛成を得た場合であっても裁判所は認可しないことになります。

どんな財産が対象になるのか

どのような財産を清算価値にカウントするかについては、個人再生手続が裁判所ごとの運用に任されている面があり、裁判所ごとによって異なりますが、一般的に、

・現金(合計金額から99万円を控除した金額)
・預貯金(合計金額が20万円を超える場合)
・貸付金(貸付金・売掛金等は回収見込額)
・積立金(社内預金、財形貯蓄)
・退職金見込額(通常は1/8が清算価値。近く退職することが決まっている場合は1/4)
・保険の解約返戻金(合計金額が20万円を超える場合その全額)
・有価証券
・自動車、バイク(合計金額が20万円を超える場合その全額)
・高価な品物(20万円以上の物)
・不動産(抵当権が設定されている場合、評価額からローン残高 ※被担保債権を控除した残額)
・敷金
・相続財産
・借金の過払い金

などが清算価値の対象になります。

自由財産について

自由財産とは、破産手続において換価処分をしなくてもよい財産のことをいいます。(破産法34条)新たに得た財産、差押禁止財産、99万円以下の現金、自由財産の拡張がなされた財産、破産管財人によって破産財団から放棄された財産などが、一般的にはこの自由財産にあたります。

個人再生における清算価値は、自己破産した場合の予測額をもとに算定するので、自由財産は除いていいのかということが問題になります。

もともと、破産法34条3項にある本来的自由財産の場合(99万円以下の現金、差押禁止財産)などは、それがもともと処分されても配当されることもないので、配当予想額に含める理由がありません。

すなわち、自由財産は清算価値にカウントする必要はありません。

これに対して、破産法34条4項にある自由財産の拡張の場合(裁判所が申立や職権で換価処分しなくてもいい額を決めることができる)は、本来的には、自由財産ではないが、裁判所が、自由財産に含めるのが相当と判断した場合です。

自由財産に含めるかは、財産の処分をしてから個別に具体的に判断されるものになりますので、配当額の予想ができません。よって、清算価値算定において自由財産拡張は考慮しないのが原則です。

しかし、裁判所ごとで、一律に自由財産拡張が認められている基準(換価基準・自由財産拡張基準)が設けられているため、この基準に該当すれば、自由財産になり、清算価値からのぞくことができます。

清算価値保障の原則が求められる理由

清算価値保証原則は、法律に直接書いてあるわけではありませんが、再生計画不認可事由を定める、民事再生法174条2項4号の「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき」に含まれると考えられています。すなわち、自己破産できるのにそれを下回るような個人再生は、お金を貸したカード会社の利益に反するとして認められないということです。

個人再生では、破産の場合とことなり、財産の換価処分は必要とされず、減額や長期の分割払いへの変更が可能になります。

そうした場合に、もし借金を負った方が、多くの財産を有しているにも関わらずそれらを処分せず大幅な債務の減額等が認められるとしたら、カード会社は到底納得しないでしょう。
債権者としては、個人再生によって弁済される金額以上の財産があるのならば、個人再生ではなく破産をして財産を換価処分し、配当に回してほしいと考えるのが当然です。

そこで、債権者の理解を得るため、個人再生においては、少なくとも破産した場合の配当額以上の支払いは必要であるとされています。これが清算価値保証の原則が求められる理由です。

これは、小数派のカード会社に最低限の利益を確保させるものといえます。例えば多数派のカード会社に借金をしている方と深いつながりがある場合、多数派のカード会社が「再生計画案で定める支払い額が低くても良いですよ」考えたとしても他の少数カード会社はそれでは納得できない場合があります。

このような場合を想定して、再生計画で定める支払い金額について最低限度の基準を定めるものとして、仮に多数派カード会社が再生計画案に賛成しても、清算価値保証の原則を満たしていない場合は再生案は認可されません。

計画弁済総額について

個人再生では、裁判所によって認可された再生計画に定められた金額を基準にして弁済していくことになります。この再生計画にも基づく弁済額の総額を「計画弁済総額」といい、以下の要件を満たす必要があります。

① 最低弁済額以上であること。

最低弁済額とは、個人再生手続き中に支払う総額をいいます。
この最低弁済額は、負債額(負った借金の総額)や資産状況などに応じて決定され。以下が基準となります。

●負債額が100万円未満 → 負債額全額
●負債額が100万円以上500万円未満 → 100万円
●負債額が500万円以上1500万円未満 → 負債額の5分の1
●負債額が1500万円以上3000万円未満 → 300万
●負債額が3000万円以上5000万円未満 → 負債額の10分の1

② 自己破産場合の予想配当額に基づく金額(予想配当額)以上であること(清算価値保証原則)

小規模個人再生の場合は、①と②の大きい額の方、「給与者所得者再生」の場合には、可処分所得2年分の額と①と②の大きい額がそれが弁済額になります。

個人再生には、個人商店主や小規模の事業を営んでいる人などを対象にした「小規模個人再生」と主にサラリーマンを対象とした「給与所得者再生」という手続きがあります。「給与所得者再生」は、「包括同意」(貸金業者の1/2以上及び債権額の1/2を超える反対がないこと)という要件は不要ですが。同意がなくても裁判所が再生計画を認めてくれる代わりに、可処分所得2年分額が多いとそれが計画弁済額になってしまいます。

可処分所得とは、収入-(最低生活費+税金+社会保険)で求められる額で、この最低生活費とは、 個人別生活費、世帯別生活費(居住地域と世帯合計数で決まる)、冬期特別生活費(寒い地域)、住居費(建物が所在する県や市によって決まる)、勤労必要経費(地域できまる)が含まれます。

この基準によって 算定されて、「計画弁済総額」が決まります。

「計画弁済総額」は、最低弁済額と破産の場合の配当予想額(給与者再生の場合は、可処分所得2年分)を上回っている金額でなければなりません。

算定時期

基準となるのは、裁判所が、再生計画認可を決定するときです。その時点で支払総額が清算価値を上回っている必要があります。財産の増加があった場合には注意が必要となります。

まとめ

あなたが、裁判所によって個人再生を認められると、財産を処分しないで、大幅な減額と分割払いが認められます。ただし、カード会社にとって、財産を持っているならば、そちらを換価処分して借金の返済に充ててほしいと思うのが当然です。このカード会社の利益を最低限でも守ろうとするのが「清算価値保証の原則」です。

個人再生をする方は、この原則を基準として、計画弁済総額を定める必要があります。これによってはじめて 再生計画が認可されて、個人再生による減額が可能になります。この清算価値の対象となる財産の確定や算定方法等は、かなり専門的な知識が必要となります。

個人再生の相談なら債務整理相談センター【広島店】へ