「個人再生すると、今いる賃貸住宅から出ていかなきゃいけないの?」

「もっと家賃の安い部屋に引っ越すことはできる?」

個人再生の申立をするとき、住む家の心配をする方は多いでしょう。しかし、賃貸住宅は持ち家と違って、特に財産とみなされるわけでもありません。住み続けることも転居することも特別な手続や許可は不要で、基本的には自由に行えます。ただし、クレジットカードが使えなくなることが、意外な面で影響を及ぼすこともあります。

ブラックリストに載ることの賃貸への影響

個人再生を行うと、その情報が通常の貸し借りや返済以外の〈事故情報〉として、消費者金融やクレジットカード会社が登録している信用情報機関に記録されます。これが俗にいう〈ブラックリストに載った〉状態で、掲載期間は5~7年。その間は、クレジットカードを作ったり住宅ローンを組んだりすることが困難になります。

しかし、情報信用機関を見ることができるのは、登録しているクレジットカード会社などだけです。不動産会社には信用情報にアクセスする権利はありません。

基本的には、不動産会社には個人再生したと知られることはなく、賃貸で住んでいる家にはまったく影響ありません。

また、個人再生を行うと〈官報〉に名前や住所などが載りますが、これも今住んでいる家の賃貸契約には影響を与えることはないのです。官報は新しくできた法律などを広く知らせるために国が出す情報紙のようなものですが、一般の人の目に触れるようなものではなく、ここから不動産会社などに個人再生を行った事実が知られることはほぼないと考えられます。

銀行などが登録している信用情報機関にはこの官報に載ったことが10年間記録され、銀行とそのグループ会社ではクレジットカードを作ることもローンを組むことも10年間できなくなりますが、これが家の賃貸契約に影響することはありません。契約更新も問題なくできます。

ただし、家賃をクレジットカード払いにしていた場合は、注意が必要です。

ブラックリストに載ると、新しくクレジットカードが作れないばかりでなく、すでに持っているクレジットカードも使えなくなり、当然クレジットカード払いが不可能になります。この場合は大家さんに事情を話し、銀行口座引き落としなど他の方法にしてもらいましょう。これまで家賃を払い遅れたなどの落ち度がなければ、応じてくれる可能性大です。大家さんもそう易々と家賃収入を手放すことはないので、積極的な交渉によって歩み寄ってくれることが多いようです。

新規賃貸契約はできるのか

他の賃貸のアパート・マンションに移るときはどうでしょうか?

個人再生を申し立てる方の中には、より家賃の安い部屋に移ろうと考える方も、少なからずいらっしゃることでしょう。この場合も、新しく賃貸契約を結ぶことには基本的に問題ありません。裁判所などへの届出も不要です。

ただし、家賃の支払い方法がクレジットカード払いだったときは、契約は難しくなります。

個人再生して信用情報機関のブラックリストに載った場合、5~7年間はクレジットカードを作れません。大家さんによっては、クレジットカードを持っていない場合、賃貸契約を結ぶときにクレジットカードの申込を求められるケースもあります。

これは、クレジットカード契約が可能かどうかをみることで信用があるかを確かめ、家賃の滞納のリスクを事前に確認しているためだといわれています。こういうケースではその部屋を借りるのは困難です。

また、賃貸契約には保証人が必要ですが、保証人が立てられない場合は〈家賃保証会社〉を利用することになります。家賃保証会社とは、賃貸住宅の契約の際に必要な連帯保証人を代行する会社です。月々に一定の費用を支払うことで保証会社が連帯保証人の役割を果たしてくれます。

中には保証会社を利用することが、賃貸契約の必要事項になっていることも。家賃保証会社の中にはアプラスやジャックス、オリエントコーポレーションなどクレジットカード発行を業務のひとつとしていて、信用情報機関の情報を見ることができる会社もあります。こういう保証会社が関わってくる場合、その部屋を借りることはできません。

ですが、それなら別の部屋、別の保証会社を探せばよいわけです。保証会社を付けないと部屋を貸してくれない大家さんは確かに増えていますが、まだそこまで多数派というわけではありません。

保証会社を必要としない(連帯保証人さえいればOKな)部屋、ブラックリストに載ったことが審査に影響しない保証会社を選べば、何も問題はありません。保証会社に関した問題を防ぐ方法は、不動産会社にはじめから「現在事情があってブラックリストに載ってしまっているので、審査のゆるい物件を紹介してくれませんか?」と伝えておくことです。

不動産会社は、物件を紹介することで紹介料を得てビジネスをしているので、ブラックリスト入りしている方でも門前払いはしません。たとえ審査に落ちたとしても、次はもっと通りやすい物件、オーナーと直接交渉ができる物件などを紹介してくれます。不動産会社を味方につけることを考えましょう。

今住んでいる賃貸物件を追い出されることはない

個人再生をしたからといって、すでに住んでいる部屋から退去を求められることはありません。

個人再生したことが不動産会社や大家さんに知られるようなことは、自分から言わない限りまずないといえます。もし万が一知られたとしても、それを理由に部屋を追い出されることはありません。

すでに部屋に住んでいる側と、部屋を貸している側では、住んでいるほうが権利的には強く、借地借家法という法律で保護されているのです。もう何ヶ月も家賃を払い遅れているのでもない限り、同じ部屋に住み続けることができます。

契約更新を拒否されたとしても、立ち退くだけの正当な理由がなければそのまま契約は自動で延長。どうしても出て行かなければいけない場合でも、大家さんに対して立ち退き料を請求することができます。

ただし、借りている部屋がいわゆる〈ゼロゼロ物件〉だった場合は気をつけなければいけません。ゼロゼロ物件とは敷金0・礼金0で借りられる代わりに、家賃の滞納などに厳しくなっている賃貸物件です。

1回でも滞納すると部屋の中にある一切のものを無断で外に出されたり、玄関のカギを勝手に付け替えられたりといった手口で、即刻退去を求められます。こうした物件に住んでいる方は、もし個人再生したことが知られでもしたら、信用に関わる問題だとして保証会社から退去を突きつけられないとも限りません。

まとめ

賃貸住宅に住んでいる場合、個人再生をしたからといって退去を求められるようなことはありません。家賃をクレジットカード払いにしていた場合、現金払いにしてもらえるよう大家さんに頼む必要がありますが、通常は特に問題なく受け付けてもらえます。

別の賃貸住宅に移る場合も、裁判所に断る必要はなく、問題となることもほとんどありません。いわゆる信用情報機関のブラックリストに載ることで、一部の家賃保証会社の審査に通らないこともありますが、それなら他の物件、他の保証会社にすれば済むことです。必要以上に生活の制限を感じることはまったくないのです。