『任意整理にはデメリットはあるの?』

『任意整理が拒否されてしまう場合があるの?』

任意整理というと、借金をたくさん抱えた方にとっては、裁判所を通さずに簡単に手続きでき、利息や遅延損害金がカット(過払い金発生時の減額の場合は元本も)ができることや、長期の返済によって、月々の返済も軽くなることなどたくさんのメリットがあると思われるでしょう。

ただし、個人再生や自己破産と異なり、裁判所を介さない方法であることから、法的な強制力も弱く、任意整理をする人にとって、必ずしもメリットばかりではありません。今回はこの任意整理においてのデメリットを見ていきましょう。

任意整理はどんなときに利用されるのか

任意整理とは、債務整理の中でどのような役割があるのでしょうか。

債務整理においては、次の3つの種類の手続きがあります。

① 自己破産…裁判所から認可をもらうことで借金を免除するための手続き

② 個人再生…裁判所から認可をもらうことで最大80%の借金が減額される手続き

③ 任意整理…借金をしている人の代理人(司法書士や弁護士)がカード会社(銀行・消費者金融・クレジットカード会社)と交渉し、利息のカットと5年での分割払いに調整できる手続き

この中で任意整理は、裁判所を通さず、代理人である司法書士や弁護士が、消費者金融や銀行やクレジットカード会社などと直接交渉し、和解を得ることで、3年~5年にわたって利息を省いた額を分割で払う手続きです。

任意整理は、手軽に利用できるため、債務整理の中で一番多く利用されており、全国で年間300万人~500万人とも言われています。

任意整理による5つのデメリット

任意整理をすると、利息をカットし、元本を5年(60回払い)で完済すればよくなります。しかし、メリットがある反面、デメリットもしっかりとあるので事前に把握しておきましょう。

ブラックリストに載る

日本には、3つの信用情報機関があり、クレジットカードやキャッシングの契約状況・借入・返済の情報を収集管理しています。

・JICC(日本信用情報機構)
主に消費者金融と信販会社の個人情報を管理しています。

・CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)
主にクレジットカード会社と信販会社の個人情報を管理しています。

・JBA(全国銀行個人信用情報センター)
主に銀行と銀行系カード会社の個人情報を管理しています。

これら3つの信用情報機関の中で、任意整理は、JICCに5年間は記録されます。

任意整理をすると、5年程度は、信用情報機関に事故情報として載ってしまいます。(いわゆるブラックリストに載る)そして、記載されている間は、新規の借入れやカードの利用、ローンを組むことができなくなりますので、住宅や車の購入には支障が出ます。

また、任意整理の対象に含めなかったカードも、更新やカード会社の契約中の審査(カード会社は定期的に信用情報をチェックしている)のタイミングで任意整理をしていることを気づかれると、使用できなくなります。

以下に4つのデメリットを並べていますが、実際に生活に影響があるデメリットは、ブラックリストに載るという1点だけだと考えて問題ないでしょう。

任意整理を受け入れない会社もある

任意整理をすると、司法書士や弁護士が貸し金業者と交渉をして借金の減額などについて合意することになります。したがって、司法書士や弁護士の交渉に貸金業者が交渉に応じてくれる必要があります。
しかし、任意整理を貸金業者が拒否することがあります。

まず、そもそも会社の方針で、任意整理に応じない業者があります。中小の消費者金融や、CFJ(アメリカの大手金融消費者会社の日本法人)や日本保証(旧社名日栄)といった会社の場合、任意整理の交渉をすると、一括払いを請求してきて、分割払いを認めてくれません。

また、奨学金を貸し出すJASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)も任意整理の交渉には基本的に応じてくれません。任意整理すると保証人や保証会社に請求がいきます。

これに対してプロミスやアコム、モビットなど大手の消費者金融であれば、経営体力もあるため、任意整理の交渉に応じてくれないということはありません。

つぎに、借金をした依頼者の側の問題で、金融機関が交渉に応じてくれない場合があります。まず、借入をしてから一度も返済をしていない状態で任意整理の手続きに入っている場合です。一度も返済をしないと、最初から返済する気がなかったということになり、そのような悪質な客を金融機関が許すはずもなく、交渉をしてきてもまず応じてくれません。なぜなら、貸金業者としても実質赤字になってしまためです。

元金が減らない

債務整理は、基本的に将来利息の減額や免除です。元金の減額にたいして、債権者が応じてくれる可能性は低いです。個人再生法の個人再生や破産法の自己破産の法的措置に比べると、減額の効果は低いでしょう。

個人再生であれば、借金の元本そのものが減額・圧縮(最大90%)されますし、自己破産であれば、大半の財産を処分する代わりに借金全額の返済が免除されます。これに対し、任意整理は法的手続きではありませんので、一方的・強制的に債務額が圧縮されることはないのです。

ただし、任意整理でも「過払い金」が発生しているケースでは、元金の減額ができます。

過払い金とは2006年の貸金業法改正によって、それまであったグレーゾーン金利(利息制限法の上限以上であっても出資法上の制限内であれば利息の請求ができた)が撤廃され、そこから発生した利息については支払い済みのものは「過払い金」として請求すれば戻ってくるようになりました。そして返済中の借金についても計算をして過払い金がある場合には、返済中の借金と相殺して元金を減額することができます。

この点2006年以降にお金を借りている方は、金利を適正な水準に変更しているので、過払い金は発生しません。

任意整理した後に返済していけるだけの収入が必要

任意整理後に確定した借金(元本)に関しては、返済をしていかなければなりません。つまり、元本に対して返済していけるだけの収入がなければ任意整理は利用できません。この場合は個人再生や自己破産を検討するしかないでしょう。

すなわち、任意整理をすると、債権者との合意後、確定した借金=元本の支払いが残ります。合意後3年~5年程度の期間、毎月借金返済が必要になることが普通です。毎月の支払金額は、任意整理したときの借金の状況にもよりますが、だいたい数万円程度にはなります。年収と1か月の収支状況を基準に専門家と相談しながら、任意整理できるか決める必要があります。

仮に200万円の借金であれば、5年60か月で割って『200万÷60≒3万4千円』3万4千円を毎月返済していけるだけの収入が無ければ任意整理は出来ないでしょう。

任意整理をするためには、この合意後の支払いを確実に継続していけることが重要になります。収入が少なすぎたり、無収入の場合には、支払いが続けられないので、任意整理することができなくなります。こうした場合は、個人再生や自己破産などの別の債務整理手続きを利用する必要があります。

和解が成立しない場合もある

裁判所を介する個人再生や自己破産と違って、「任意」で交渉する任意整理の場合、貸金業者によっては、交渉が成立しない可能性があります。特に担保をつけての借り入れの場合は和解が難しく、債務者が希望した通りの借金減額は望めません。

さらに、「任意」の整理である以上、債権者が債務者に不利な条件を出してくる場合もあります。「利息のカットは認めるが、支払いは一括払いしか受け付けない」とか「過払い利息の返還は認めるが、将来利息のカットは行わない」などの条件を出してくる場合もあります。

そもそも担保ありの借金は、基本的に任意整理はできませんし、専門家も引き受けない場合が多いです。担保にしているものが取り上げられてしまうためです。担保付きは対象から外して、それ以外を任意整理するのが良いでしょう。

まとめ

任意整理によって考えられるデメリットを列挙してきましたが、直接生活に悪影響を及ぼすことは、「ブラックリストに載る」の一点です。ブラックリストに載ると、クレジットカードが使用できない・ローンが組めない・借金ができない、という状態が5年間続くため少し不便になるかもしれません。しかし、任意整理は、大体5年程で返済計画を立てるため、完済するころにはブラックリストから外れているため、そこまで大きなデメリットとは言えないでしょう。